シリアン・マーフィーのアカデミー賞ブローチ:想定外のレッドカーペットデビュー

シリアン・マーフィーといえば、ここ数ヶ月間にわたって受賞歴を重ね、その都度、話題をさらうスタイリッシュなスーツ姿が注目を集めてきました。ヴィンテージ感漂うゴールデン・グローブでの着こなし、セイントローレンのシックな二点セットでの全米映画俳優組合賞(SAGアワード)など、アイルランド出身の俳優であるマーフィーは、テーラリングの達人ぶりを遺憾なく発揮しています。そして、アカデミー主演男優賞を受賞した際のタキシードも例外ではありませんでした。

オーダーメイドされたヴェルサーチェのタキシードは、オppenheimer(原題:オppenheimer 原子爆弾の父)で主演を務めたマーフィーを念頭に、一針一縫い仕立てられています。特注で作られたパテントレザーのチェルシーブーツ(ブランドは「ダブリンブーツ」と命名)でさえ、まさにこの夜の為に準備されたものでした。

しかし、主演男優賞を受賞しスピーチをするマーフィーの左襟には、誰もが目を引く新顔が輝いていました。それが、ソブリン(Sauvereign)による特注の「HS14 ジェム ブローチ」です。こちらもマーフィーのためにだけに作られた特別な一品でした。

原爆の生みの親という役柄にインスパイアされたこのブローチは、18金イエローゴールド無垢で作られ、合計8枚の同心円状の台形が特徴的です。このユニークな形状は、J・ロバート・オppenheimerが歴史に刻んだ発明品の内部を想起させます。さらに、各パネルの表面には、まるで光線が中心部から放射状に放出されているかのようなサンバースト模様が緻密に彫金されています。まさに原子をイメージさせるデザインです。そして、マーフィーお馴染みの赤いポケットチーフやセクシーなシースルーシャツ同様、このブローチもまた見事に着こなされていました。しかし、当初はアカデミー賞で着用される予定ではなかったのです。

「簡単に説明すると、幸運なことに昨年12月にロンドンで、マーフィーのスタイリストであるローズ・フォード氏とお会いする機会がありました。」と、ソブリンの創設者でありチーフクリエイティブであるバートランド・マク氏は語ります。「ランチの際、彼女はさりげなく、マーフィーにピンを探しているかもしれないと話し、デザインしてくれるかと尋ねてきたのです。アカデミー賞用という話ではなく、バスローブにでも着けてくれれば嬉しかったくらいです。」

今年の授賞シーズン、男性用のブローチは大きな注目を集めています。バリー・コーガン氏のヴィンテージの鹿角ブローチ、ジェレミー・アレン・ホワイト氏の超希少なティファニー&コ.のブローチなど、映画『人生はプロセス』主演のテオ・ユー氏も昨晩、亡くなったペットの亀を偲んでカメの形をしたブローチを身に着けていました。「3日間くらい涙が止まらなかった」とユー氏はレッドカーペットでバラエティ誌に語っています。

「現代において、男性が貴重で精巧なジュエリーを身に着けることは、特別な日のみならず、ずっと受け入れられやすくなっています」とマク氏は続けます。「ブローチはジュエリーの中でも最も多用途で、表現力と力強さを兼ね備えており、どんな装いも瞬時にパーソナルなものへと昇華させ、洗練された印象を与えてくれます。」

シリアン・マーフィーはついにアカデミー賞に輝きました。そして、その栄光を裏付けるかのように、彼はこのブローチを身に着けていたのです。

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